セクション別ガイド

工数決定

各画面の開発工数を見積もります。
最小〜最大の範囲で指定し、不確実性を明示する2点推定を採用しています。

なぜ範囲で見積もるのか

1点推定の問題点

  • • 「5人日」と言い切ると、実際には4〜7人日のばらつきがあっても見えない
  • • 不確実性が隠れるため、リスク判断ができない
  • • 見積もりが外れたとき「誰の責任か」という不毛な議論になりがち
  • • 経験豊富なエンジニアほど「それは条件による」と言いたくなる

2点推定のメリット

  • • 不確実性が可視化され、リスクのある見積もりが一目で分かる
  • • 「最悪ケースでも〇〇日」という保守的な計画が立てやすい
  • • 見積もりに幅があることを発注者と共有でき、期待値調整がしやすい
  • • 中央値(期待値)は自動計算されるので入力の手間は変わらない

入力する項目

最小工数(人日)

楽観的なケースでの工数。すべてがうまくいった場合の最短見積もりです。

考え方

  • • 要件が明確で変更がない場合
  • • 類似実装の経験がある場合
  • • 外部連携がスムーズにいく場合
  • • レビューが一発で通る場合

最大工数(人日)

悲観的なケースでの工数。予期せぬ問題が発生した場合の最長見積もりです。

考え方

  • • 仕様の解釈違いで手戻りが発生する場合
  • • 外部APIの仕様が想定と異なる場合
  • • パフォーマンス問題でチューニングが必要な場合
  • • レビュー指摘で大幅な修正が入る場合

最大工数を大きく見積もる要因

  • • 外部システム連携(API、決済、認証)
  • • 初めて使う技術・フレームワーク
  • • 要件の不確実性が高い
  • • レガシーコードへの影響調査が必要

期待値(自動計算)

最小と最大の中央値として自動計算されます。ROI計算にはこの値が使われます。

期待値 = (最小工数 + 最大工数) / 2

メモ(前提・リスク)

見積もりの前提条件やリスク要因を記述します。

記入例

  • • 「既存検索APIを使う前提。新規開発なら+3人日」
  • • 「デザインデータ確定済みの前提」
  • • 「決済連携の仕様書待ち。遅れると最大工数に近づく」

入力例

画面最小最大期待値メモ
トップ2人日4人日3人日静的コンテンツ中心
検索結果4人日8人日6人日フィルタ複雑、API待ち
カート3人日5人日4人日決済連携は別画面

Claude Code での操作例

あなた

「toishiの工数見積もりを追加して。 検索結果ページは4〜8人日(フィルタ複雑)。 商品詳細ページは3〜5人日」

AI

工数見積もりを追加しました。

【検索結果ページ】
- 最小: 4人日 / 最大: 8人日
- 期待値: 6人日
- メモ: フィルタ複雑

【商品詳細ページ】
- 最小: 3人日 / 最大: 5人日
- 期待値: 4人日

合計期待値: 10人日(範囲: 7〜13人日)

承認のポイント

承認者はここをチェック

  • ✓ 最小と最大の幅が妥当か(差が大きすぎると不確実性が高い)
  • ✓ メモに前提条件・リスクが記載されているか
  • ✓ 類似画面間で工数のばらつきが説明できるか
  • ✓ テスト工数、レビュー工数が含まれているか
  • ✓ 不確実性が高い項目は、なぜ高いか説明があるか

ベストプラクティス

1

幅が大きいときは要因を分解

「2〜10人日」のように幅が大きい場合、不確実性の要因を特定し、 先に調査・検証してから見積もり直すことを検討します。

2

実績データを蓄積する

プロジェクト終了後に「見積もり vs 実績」を記録し、次回の見積もり精度を上げます。 「いつも最大に近い」なら、最小の見積もりが甘い傾向があります。

3

発注者には範囲で伝える

「45人日」ではなく「40〜55人日」と伝えることで、期待値調整がしやすくなります。 「最大でも〇〇日」という安心感も提供できます。

4

エンジニアと一緒に見積もる

PMだけで見積もらず、実装担当エンジニアの意見を聞きます。 「このAPIは癖がある」「ここはライブラリで簡単」など、現場の知見を反映できます。

なぜこの設計なのか

1

最小〜最大の2点推定 — 「5人日」ではなく「3〜8人日」で不確実性を表現

「5人日」と言い切ると、実際には4〜7人日のばらつきがあっても見えません。 範囲で見積もることで、「最悪ケースでも8人日」という保守的な計画が立てられ、 見積もりが外れたときの「誰の責任か」という不毛な議論を避けられます。

2

画面単位ではなくユーザーニーズ単位で見積もる — 横断的なロジックの見落とし防止

画面単位で見積もると、「認証基盤」のような複数画面で共有するロジックを 各画面に重複カウントしてしまいます。 ユーザーニーズ単位で見積もることで、共有工数を正しく按分でき、ROI計算の精度が上がります。

3

根拠を残す — 「なぜ5人日か」が不明だと、スコープ調整時に判断材料がない

「検索画面は5人日」だけでは、予算オーバー時に「どこを削れるか」が分かりません。 「フロント2日、バックエンド2日、テスト1日」のように分解し、 前提条件(「Elasticsearch導入済み」)を記録することで、スコープ調整の判断材料になります。

次のステップ

工数を見積もったら、次はROIシミュレーションでスコープを決定しましょう。

スコープ決定(ROIシミュレーション)